ドストエフスキーを読んだと嘘をついた。

だから意見、お貸しします。

見世物になった音楽。

 

今年も無事に夏へ突入した。気温や各地の梅雨明けニュース、また大雨情報、店内BGMのサザン、花火大会の日程なんかを見ると実感する。他にも、水着のセールが始まったり、祭囃子が遠くから聞こえてきたり、外に出たらペトリコールが気になったり、日焼け止めや、ムヒのCMなんかでも思う。あと、音楽の特番が増えると季節の変わり目を実感する。

 

もう僕も大人だから、音楽の力を云々とというキャッチコピーと番組の編成が噛み合ってないとか、局の上層部以外の満足度はどうなのとか、そこに全力で噛み付く野暮なことはしない。

 

音楽が売れないと1番デカイ声を出しているのは、音楽が金になると飛びついた人たちだし、安易に音楽の力でみんな1つに!と口に出すのは、作詞作曲をプロに任せた、操り人形達だ。経済としての音楽に嚙みつこうという気持ちにはもうなれない。

 

ただ、特番として放送し、それでお金を動かすなら・視聴者の感動を宣伝通りに煽りたいなら1個だけ、別に構わないんだけど、当て振りはどうなのと思う。当て振りするなら、「音楽の力」を切り抜いて前面に押し出すのは違うだろう。

 

カメラだけを意識した見世物を垂れ流されても、それならYouTubeでMVを見れば済む。生でやるメリットがない。見る側にも、演る側にも気持ちよさが感じられない。

 

嫌なら見なければいい。確かにそうなんだけど、諸事情で、全放送局を一斉に視聴していないといけない時間が1日に8時間程あるんです。全局同時に流れているからチャンネルを回すという概念が通じない。どんだけつまらなくても、耐える以外に選択肢はない。

 

だから今日は見てて気になった、見世物としての音楽について考えたい。

 

8時間耐え抜いたはいいが、メモ帳にはエモさの欠如としか書いてなかった。幸いまだ放送してるし書き進めることにする。流石10時間生放送はダテじゃない。

 

 

笑顔で動きは派手に、テレビ映えだけを気にして動くアーティストを見てると違和感ばかり目立つ。今更な話題ではあるが、発声しているとは思えない顔、ピッキングとミュートが明らかにおざなりになった演奏姿勢、ブレスが全く入らない不思議なマイク、PAがうますぎる48人の声のバランス。演奏してます!で押し通すほうが難しい。

 

テレビ番組だから綺麗にまとまったCDのような音が大事なのはわかる。実際、生放送でライブ中継みたいなのやられるとベース聞こえないし、メロディはっきりしないしで、微妙な空気感がお茶の間に漂うことはある。

 

けれど、音源を流す中で、映像が殺風景になってしまうことを防ぐために、派手なパフォーマンスをしましょうって方針で音楽番組があるなら、ネットとの線引きに躍起になっているテレビ業界自ら迎合しにいってるように思える。

 

歌唱力がなく、棒立ちはまずいからとゴチャゴチャ団子のようにダンスする48や、歌の担当者以外、プロジェクションマッピングでなんとかなりそうなザイル。表現といえば聞こえはいいが、パフォーマンスで魅了することに注力するなら、彼らが持っているのは見世物の力だ。

 

他にも、作詞作曲をプロに任せ、自分の曲としてリリースしてはいるものの、一切当人の心情が挟まってない曲を、感情移入して気持ちよさそうに歌っている歌手が山ほど出演していた。これもプロが黒子となった見世物だ。

 

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現代音楽のトレンドはこの見世物の力だ。音楽の良し悪しなんかではない。無料かつ派手であること。街中のBGMや、遠くからなる祭囃子となんら遜色ない。80-130のABCABCDCで4分の4拍子。耳馴染みがよければMusic FMを筆頭とする無料音楽割りアプリで無事に1位を獲得だ。各所で、お高いイヤホンに通信制限ギリギリ、画面が割れたiPhoneの最高すぎる組み合わせから音漏れを耳にできるに違いない。

 

こういう背景があるから、ステージが派手になるように、いい大人が精一杯演技をする。音楽ではなく見世物だから。視覚に訴えられないと話にならない。出だしでも書いたけれど、音楽番組で当て振りが行われるならそれはそれで構わない。ただそうするなら、音の力ではなく映像の力とするべきだ。

 

感動だったり感傷といういわゆるエモさってやつは、視聴者が要所要所で勝手に見出すものだ。3.2.1.ハイで提示するもんじゃない。だから当て振りにそれを見出すことは難しい。淡々と流れていく画面は逆に殺風景だ。

難しいパートを難しい顔して演奏したり、暴れすぎてノイズが鳴りまくったり、完璧じゃない演奏には味がある。これがCDとの差なわけだし、演奏を楽しむ1つの観点だ。

 

見て!私今楽しそうでしょと言わんばかりのカメラ目線は、我々視聴者からすればSNSで事足りている。雑なピッキングとジャンプをお茶の間に流すくらいなら、音楽の力や演奏の素晴らしさを押し出すなら、下手でもいいから演奏するべきだ。最初から土俵に立ってない人たちを見たって感動はない。

 

ターゲットオーディエンスと、番組の企画と、市場のトレンドが全てズレている音楽特番。音楽業界がどう思っているのかは推測の域を出ないけれど、実際にこういった番組を楽しみと呟く人たちは、これをどう思っているのだろうか。音楽として聴くのか、映像として見るのか。無料の音楽鑑賞が趣味な人たちはどうなんだろう。感動してんのかな。

 

少なくとも僕には、同じ映像物なら他でも充分事足りると感じた。御御足が魅惑的すぎる韓流アイドル以外は、別に他でも十分補える。僕が求めているのは音楽であって見世物ではない。だから映像が派手じゃなくていい。演奏してくれれば。いや、そもそも好きなアーティストが参加してないからスタート地点にすらいないんだけどね。

 

「結局音楽はBGM」みなさんにとっては見世物ですか?音楽ですか?

 

では、また。